初めに
ここのところ、Lispを少し離れて、人工知能について勉強している。AlphaGoやDeepLearning,TensorFlowの流れを受けて興味を持ったのだが、私自身の興味について考えるうちに、機械学習、深層学習ではなく、いわゆる「第五世代コンピュータ」の古い世代の人工知能、というより、知識の表現方法に興味を持った。そこで各種の古い本を、図書館で借りては読んでみているのだが、その中でもこの本は、平易で、プログラミングやprologについての知識が多少あれば、古き良き人工知能の入門書としてとても良いのではないか感じた。
本の特徴
Prolog, Lisp による人工知能の開発が盛んだったころの入門書だったと思われる。主な話題は、Prolog言語による人工知能の実装について、基盤となる技術や考え方が書かれている。
簡単な例を多く取り上げて話が進められる。一つ一つの考え方やPrologでの処理の進み方を丁寧に追いかける。巻末にスリット式のステップ実行サンプルがついているという念の入りようである。s読者に考えを促す「Think」と書かれたコーナーが数多く準備されている。著者の回答が上下反転した文章で印刷されているのが印象的である。
本の中で取り上げられている話題と例
- 第一部
- 意味ネットワークとProlog 言語による表現
- Prolog言語にその内容について質問する方法
- 4人の男女の「好き・嫌い」をProlog言語で表現してみる
- 連鎖する知識から結論を引き出す「規則」の定義
- 新しい知識をコンピュータ(Prolog)に覚えさせる方法
- キスをした4人の男女とカゼの連鎖
- 再帰的な規則の定義方法
- 病気持ちの家系図から「おたふくかぜ」持ちの親戚を持つ人を探す
- 簡易版エキスパートシステムの実装
- リストによる知識の扱い方の基礎
- 羽をもち、長い首を持ち、飛ばない動物は?
- 第二部
- 知識を条件として持つ知識の扱い方
- オペレーターチャート(?)
- これが何か説明はできないが、していることはわかる、、、
- 確率を伴う知識の扱い、ベイジアン、ファジイ、
- ライトが切れているスクーターのバッテリーが上がっている確率は?
- 簡単な黒板システムの実装
- 今ミサイルを発射すべきか?
- 学習の基礎、パターンから事実を推論する方法
- 日焼けしやすい肌の色と髪の毛を事実から推論できるか?
- コード例はなし。残念。
- 第三部
- 実際に動いているシステムの概念紹介、いずれも概念説明のみ
- STRIPS
- ABSTRIPS
- MOLGEN
- SAVOIR
- HEARSAY
- EXPERT-EASE
- AM, EURISKO
- ACT
- 知識工学用のトゥール(13章)
- 言語、エキスパート・システム、知識獲得用トゥール、知識工学の環境
- 第四部
- コンピュータは知的な生き物か?
- いずれも「知識」とは何かの説明で難解である
この本の良かった点、そうでもない点
まず良い点は
- 古き良き人工知能についての基礎知識を与えてくれる。その一部は今でも古びない
- ベイジアンとか。
- 知識ツリーとか。
- 学習の基礎とか。
- たいへん平易な例で作られているため、読み進めやすい。
- 入門書としてとても良いように思われる。
- 昔に存在した人工知能関連のシステムについて情報を得ることができる
- 参照が3ページ
- 知識工学用ツールの提供企業の名前と住所が載っている!
それからそうでもない点は
- 2016年現在最新の話題には触れる気配もない
- 深層学習、機械学習(少々触れてはいるが)
- 後半部については今では古びていて生かすのは難しい
- 古いシステムについての解説、解説だけなのでまた生かしづらい
- 第四部に至っては実装や知見よりも「哲学」に近いのではないかと思う内容
この本の役立て方
この本をうまく使える人は果たしてどのような人かと想像すると
- 人工知能について興味はあるが断片的な知識しか持っていない
- 古い人工知能の実装に興味がある
- 古い人工知能の研究について興味がある
- 今書店に残っている本や情報が難しすぎると感じている、実装例が足りないと感じている
- もっとPrologでプログラミングをしてみたいが、どの本も難しすぎる
である!、、、。あまり最近の人工知能の学習書をちゃんと呼んだわけではないし、こんな読者本当に居るのだろうか、、、?
とりあえず私が言えることは、図書館で見つけたらぜひ立ち読みしていただきたい一冊である。ということである!
とりあえず私が言えることは、図書館で見つけたらぜひ立ち読みしていただきたい一冊である。ということである!
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